血液検査の項目と基準範囲

血液検査の項目と基準範囲

項目 単位 性別 基準値 説明
下限 上限




AST
(GOT)
U/L   0 30 心臓、肝臓、筋肉、腎臓などのさまざまな臓器に存在する酵素です。これらの臓器が障害を受けると、この酵素が血液中に放出され、高値を示します。
ALT
(GPT)
U/L   0 30 ASTと同じように身体のさまざまな臓器に存在しますが、ALTは主に肝臓に存在するためASTとALTの両方が高値のときあるいはALTのみが高値の場合には肝障害の可能性が高くなります。
γ-GT U/L   0 50 蛋白質を分解する酵素の1つです。肝臓や胆道に病気があると高値を示します。アルコールの影響で高値になりやすく、常習飲酒による肝障害の指標になります。
ALP
(IFCC法)
U/L   38 113 身体のほとんどの臓器に含まれている酵素ですが、主に肝臓、胆管、骨、胎盤などに多く分布し、これらの臓器の疾患で高値を示します。
ChE
(コリンエステラーゼ)
U/L 242 495 肝臓、膵臓、心臓などに多く存在しますが、肝臓で合成されているため、肝機能をよく反映しています。肝臓障害や栄養障害などで低下し、ネフローゼ症候群や脂肪肝などでは高値を示します。
200 459
LDH
(IFCC法)
U/L   124 222 各種臓器に広く分布し、肝臓、心臓、腎臓などの臓器のほか、筋肉や血液にも多く存在します。肝臓、心臓、腎臓などの臓器や血液成分に障害があると高値を示します。
総蛋白
(TP)
g/dL   6.7 8.3 血液中にはアルブミンやグロブリンなどの蛋白があり、身体の働きに重要な役割を果たします。低栄養、栄養の吸収障害など蛋白の不足で低下する他、肝臓、腎臓、免疫機能の障害により、身体の代謝に異常があると増減します。
アルブミン
(ALB)
g/dL   3.8 5.2 血液中に一番たくさんある蛋白で、肝臓で合成されます。栄養障害、肝臓や腎臓の障害時に低下します。
A/G比     1.1 2.1 血清中のアルブミンとグロブリンの比を調べることで、血清蛋白の異常を知ることができます。ネフローゼ症候群や肝臓疾患、慢性感染症などで低値となります。
総ビリルビン
(T-bil)
mg/dL   0 1.2 赤血球には寿命があり毎日少しずつ壊れていますが、その際にヘモグロビンが分解されて生じるものがビリルビンです。血中ビリルビンの値により、黄疸の程度などを含め、肝・胆道系疾患の有無やその程度を知ることができます。



HBs抗原     (-) 肝炎を引きおこすウイルスの1つであるB型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べます。
B型肝炎は重大な病気なので、陽性のときは内科を受診することをお勧めします。
HBs抗体     (-) B型肝炎ウイルスに対する抵抗力の有無を調べます。この抗体が陽性のときはB型肝炎ウイルスによる新たな感染の可能性は低いと考えることができます。
HCV 抗体     (-) 過去または現在、C型肝炎ウイルスに感染した、あるいは感染していることを示します。確認には遺伝子診断であるHCV-RNAを検査します。C型肝炎は重大な病気なので、陽性のときは内科を受診することをお勧めします。




総コレステロール
(T-cho)
mg/dL   130.0 219.0 コレステロールは血液中に含まれる脂肪分の1つで、細胞やホルモンを作るために必要な物質です。これが異常に高いと動脈硬化の進行が早まり、長期的には心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などがおこりやすくなります。
中性脂肪
(TG)
mg/dL   30 149 高カロリー食やアルコールの過飲などで過剰に摂られたエネルギーは中性脂肪として貯蔵され、さらに増加すると皮下脂肪や肝臓に蓄えられます。
これが高くなると、内臓脂肪の増加や脂肪肝の原因となります。
HDL-C
(HDL-コレステロール)
mg/dL   40 89 動脈壁に付着したコレステロールを再び血液中に洗い出す働きがあるため善玉コレステロールと呼ばれます。これが高いと動脈硬化に予防的に働き、低いと動脈壁へのコレステロール沈着が増え動脈硬化の進行が早まります。
LDL-C
(LDL-コレステロール)
mg/dL   60 119 LDL(低比重リポ蛋白)はコレステロールを末梢細胞に運搬する働きがあります。血中のLDL-コレステロールの増加は冠動脈疾患の危険因子です。
nonHDL-C
(nonHDL-コレステロール)
mg/dL   0 149 non HDL-コレステロールはLDLだけでなくすべての動脈硬化を引きおこしたり促進したりするコレステロールを表します。





血糖
(グルコース・BS)
mg/dL   70 99 血液中のブドウ糖は身体の大切なエネルギー源です。食後には血糖が上昇しますが、インスリンの働きでもとに戻ります。糖尿病でインスリンの作用が不足すると血糖値は上昇します。糖代謝の要精密検査・要医療判定(糖尿病疑い)を放置することは危険です。内科を受診してください。
HbA1c
(N)
%   4.6 5.5 ブドウ糖とヘモグロビンが結合したものを、HbA1c(グリコヘモグロビン)といいます。
尿











尿酸
(UA)
mg/dL 3.7 7 尿酸は身体の細胞の核にあるプリン体が壊れてできるものです。尿酸の合成増加や組織の破壊、腎臓での尿酸排泄の低下などで血中の尿酸濃度は高くなり、関節に沈着し痛風を、腎臓に沈着し腎障害をおこします。また慢性的に尿酸値が高いと動脈硬化を引きおこす危険性があります。
2.5 7
C反応性蛋白
(CRP)
mg/dL   0 0.14 体内に炎症(リウマチ熱、細菌感染など)があるとき血液中に現れる蛋白質(C反応性蛋白)の量を測定するものです。
高値のときは原因となる炎症性疾患について、検査を受ける必要があります。
尿素窒素
(BUN)
mg/dL   8 22 尿素窒素は蛋白が身体の中で分解されたときにできる老廃物で、これらは腎臓から尿中に排出されます。
腎臓での排泄が低下すると、血液中の尿素窒素の濃度が高くなります。
クレアチニン mg/dL 0.61 1.04 クレアチニンは筋肉内にあるクレアチンの最終産物で、腎臓でろ過され排泄されるため、腎機能のもっとも重要な指標とされています。
0.47 0.79
e-GFR
(推算糸球体濾過量)
ml/min/1.732   60   腎臓が老廃物を排泄する能力を調べる検査で、血清クレアチニン値と年齢と性別から推算します。
慢性腎臓病(CKD)の重症度評価に用いられます。
アミラーゼ U/L   37 125 膵臓に含まれる消化酵素のひとつです。アルコールの飲みすぎや脂肪のとりすぎ等で膵細胞が破壊されると、アミラーゼが上昇します。
高値の場合、膵疾患のほか、腸閉塞、卵巣腫瘍、肝炎、腎不全等が疑われます。




白血球数
(WBC)
103/μL 3.9 9.8 生体を細菌やウイルスから守る免疫に役立つ細胞です。感染症や喫煙、ストレス等で高値を示しますが、まれに重大な血液系の病気(白血病など)のこともあります。
3.5 9.1
赤血球数
(RBC)
104/μL 427 570 身体に酸素を運ぶ血球成分です。
少ない場合は貧血を、多い場合は多血症を疑います。
376 500
血色素量
(Hb・ヘモグロビン)
g/dL 13.5 17.6 赤血球の中に含まれる酸素などを運ぶ成分です。
低下すると貧血症状が生じます。
胃十二指腸潰瘍など消化管からの出血、女性の生理出血、鉄分の不足や血液疾患などが原因になることがあります。
11.3 15.2
ヘマト
(Ht・ヘマトクリット)
% 39.8 51.8 血液は、細胞成分の血球と液体成分の血漿に大別でき、ヘマトクリット値は、血液中の血球の割合を示します。
貧血があると低下し、多血症のときは増加します。
33.4 44.9
MCV fL 82.7 101.6 赤血球恒数とは、以下の3つの恒数をさします。
MCV:平均赤血球容積と呼び、赤血球一個あたりの容積(大きさ)を示します。
MCH:平均赤血球ヘモグロビン量と呼び、赤血球一個あたりに含まれるヘモグロビン量を示します。
MCHC:平均赤血球ヘモグロビン濃度と呼び、赤血球の一定容積に対するヘモグロビン量の比を示します。
79 100
MCH pg 28 34.6
26.3 34.3
MCHC % 31.6 36.6
30.7 36.6
血小板数 104/μL 13.1 36.2 血小板には、出血したときに血液を固めて止血する働きがあります。
血小板が少ない場合は、体の中で血小板が消費されたり破壊が進んでいたりするか、血小板を作る機能が落ちている可能性があり精査が必要です。
また、血小板が抗凝固剤として使われるEDTAで凝集する方がおられ、極端な低値となる場合があります。そうした時には再検査が必要になります。
13 36.9

参考資料:一般財団法人日本予防医学協会「血液検査」