特定保健指導

特定保健指導

健診を受けた結果、メタボリックシンドロームのリスクのある40~74歳までの方を対象に、健康に関するセルフケア(自己管理)ができるように、健康づくりの専門家である保健師または管理栄養士が寄り添ってサポートします。

健診を受けた後の行動が大切です!

はじめに

厚生労働省令(平19・157号)により健康診断の結果が一定レベルを超える方に対し、健康状態の悪化を防ぐため、生活を健康的なものに改善できるよう、専門家からさまざまな働きかけやアドバイスの実施が義務付けられています。
(皆様に保健指導の費用はかかりません。)
不健康な生活習慣を続けて健康状態を悪化させることは、糖尿病などの生活習慣病や合併症を引き起こすリスクを高めます。生活習慣病、及び合併症発症による日常生活への悪影響や医療費の増加を防ぐため、前向きなお取組をお願い申し上げます。

メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積が関連する一連の健康リスクの総称で、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)の発症リスクが高まる状態を指します。この症候群は、動脈硬化や心血管疾患のリスクを大きくする要因とされています。

メタボリックシンドロームの特徴的な要素

  1. 内臓脂肪の蓄積:腹部肥満(内臓脂肪型肥満)が主な特徴です。ウエスト周囲径が一定以上の場合、メタボリックシンドロームの疑いが高まります。
    (日本では男性85cm以上、女性90cm以上が基準とされています)
  2. 高血圧:血圧が高い状態は、血管に負担をかけ、動脈硬化や心血管疾患のリスクを増加させます。
  3. 脂質異常症:中性脂肪の増加やHDLコレステロール(善玉コレステロール)の低下も、血管や心臓への負担を大きくします。
  4. 高血糖:血糖値が高いことは、糖尿病のリスクを高め、他の要因と重なることで心臓病のリスクも上がります。

メタボリックシンドロームのリスク

メタボリックシンドロームは生活習慣病の引き金となるため、早期の改善が重要です。
肥満や内臓脂肪の蓄積を防ぐために、バランスの取れた食事、定期的な運動、適切なストレス管理が推奨されます。また、定期的な健康診断を通じてリスクを把握し、早めの対応が勧められます。
特定保健指導を受けて、生活習慣を見直し、適度な運動やバランスの良い食事、禁煙等に取り組むことが重要です。

特定保健指導の種類

動機付け支援

特定保健指導の「動機づけ支援」は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)が懸念される人が健康改善に向けて意識を高め、自主的に生活習慣を見直すためのサポートです。これは、日本の特定健診制度の一環であり、生活習慣病の予防を目的としています。

動機づけ支援の主な内容

  1. 健康状態の把握:まず、医師や保健指導員が健康診断結果をもとに、現在の健康状態を説明します。
  2. 目標設定:利用者自身が無理のない範囲で、改善したい健康習慣や目標を設定します。例えば、毎日10分のウォーキングを始めるなど、小さな行動目標を設定することが多いです。
  3. 行動計画のサポート:生活習慣の改善に向けて、食生活や運動習慣について具体的なアドバイスが提供されます。
  4. フォローアップ:定期的に進捗を確認し、目標達成に向けた改善を行うサポートもあります。これにより、健康改善への意識を維持しやすくなります。

該当者

  • 腹囲:男性85cm以上、女性90cm以上で下記追加リスクが1つ
  • 腹囲:男性85cm未満、女性90cm未満かつBMI:25以上で下記追加リスクが1~2つ

積極的支援

特定保健指導の「積極的支援」は、メタボリックシンドロームのリスクが高いと判断された人に対して、より継続的かつ集中的に生活習慣改善を支援するプログラムです。これは、生活習慣病のリスクを減らすために、具体的な目標達成に向けたサポートを提供する段階で、動機づけ支援よりもさらに踏み込んだ指導内容を含みます。

積極的支援の主な内容

  1. 健康状態の詳しい説明:医師や保健指導員が、健康診断結果や生活習慣に関する詳細な説明を行い、リスクの具体的な内容を理解してもらいます。
  2. 個別の行動目標と計画作成:個人の健康状態に応じた具体的な行動目標を設定し、食事や運動、睡眠などの生活習慣に関する改善プランを作成します。例えば、週に3回の30分間の運動や、食事の内容や摂取量の見直しなどが含まれます。
  3. 定期的なサポートとフォローアップ:数か月にわたって定期的なフォローアップが行われ、進捗確認や改善点についてのアドバイスを受けられます。この過程では、継続して行動を支援するために、電話や対面、メールなどでサポートが提供されます。
  4. 成果の確認と評価:サポートの最終段階では、目標達成度や改善した生活習慣の定着度を確認し、今後も健康を維持できるようにフィードバックを行います。

該当者

  • 腹囲:男性85cm以上、女性90cm以上で下記追加リスクが2つ以上
  • 腹囲:男性85cm未満、女性90cm未満かつBMI:25以上で下記追加リスクが3つ以上

追加リスク

  • 血糖・・・空腹時血糖値※100mg/dl以上またはHbA1c 5.6%(NGSP値)以上
  • 脂質・・・中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレステロール40mg/dl未満
  • 血圧・・・収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上
    ※喫煙歴・・・1~3のリスクが1つでもある場合にのみリスクとして追加

特定保健指導の流れ

特定保健指導の流れは、主に以下のようなステップで進み、最後に国への報告までが行われます。

  • 対象者の選定
    健診(生活習慣病健診)結果に基づき、メタボリックシンドロームのリスクがあるかどうかを判定し、保健指導の必要な対象者を選びます。リスクに応じて、「動機づけ支援」または「積極的支援」の対象とします。
  • 初回面接
    選定された対象者には、当組合が特定保健指導を委託する業者の保健指導員が初回面接を行い、健康診断の結果や現在の生活習慣について詳しく話し合います。
  • 行動目標と計画の設定
    面接を通じて、対象者の生活習慣の改善に向けた具体的な行動目標と計画を設定します。食事や運動、睡眠などに関する具体的な改善ポイントが示され、自発的に取り組みやすいようにサポートされます。
  • 定期フォローアップ
    設定した目標に基づき、定期的なフォローアップを行い、進捗状況の確認とアドバイスを提供します。フォローアップは、電話やメール、専用アプリやオンライン面談などで行われ、行動の定着を支援します。
  • 最終評価と結果の報告
    指導期間の終了後、目標の達成度や生活習慣の改善状況について評価します。この評価結果をもとに、対象者にフィードバックが行われ、健康管理のための継続的な支援についても案内されます。
  • 国への報告
    特定保健指導の結果や実施状況は、当組合より国に報告します。報告されたデータは、厚生労働省が生活習慣病予防の施策や評価に活用し、効果的な保健指導の実施方法を検討するための基礎データとなります。

特定保健指導の効果

特定保健指導の効果については、生活習慣病の予防や健康リスクの低減において一定の成果が報告されています。
特定保健指導は、早期の段階で生活習慣病のリスクを軽減することを目指し、メタボリックシンドロームなどの予防をサポートするために、行動変容を促すことに焦点を当てています。

特定保健指導の効果

  1. 生活習慣病リスクの低減
    特定保健指導を受けた人は、メタボリックシンドロームや糖尿病、高血圧などの生活習慣病リスクが低減するとされています。継続的な支援を受けることで、内臓脂肪の減少や血圧・血糖値の改善が期待されます。
  2. 行動変容による健康習慣の定着
    食事の見直しや運動習慣の定着が促進され、日常生活に健康的な習慣が取り入れられやすくなります。これにより、指導が終了した後も健康行動が継続される傾向が見られ、長期的な健康維持に役立ちます。
  3. 医療費の抑制
    特定保健指導によって生活習慣が改善され、生活習慣病の発症が予防されると、長期的には医療費の削減につながるとされています。早期の健康リスクの改善は、将来的な病気の予防にも貢献するため、医療制度全体の負担軽減にも寄与する効果が期待されています。
  4. 自己管理能力の向上
    特定保健指導を通じて自分の健康状態を把握し、自己管理の意識が高まります。これにより、参加者は自発的に健康行動を行うようになり、自己管理能力が向上するという効果もあります。

エビデンス

特定保健指導の効果に関するエビデンスは、厚生労働省の調査や関連研究を通じて示されています。以下はその代表的な結果です:

  1. 体重・血糖値の減少:特定保健指導により、体重、血圧、血糖値など生活習慣病のリスク要因が改善されることが確認されています。たとえば、体重減少や血糖値(HbA1c)の低下が見られ、糖尿病や高血圧の発症リスクが軽減されることが報告されています。
  2. 統計的な成果データ:厚労省の報告では、2008年のデータに基づき、特定保健指導を受けた対象者でのBMIやメタボリックシンドロームの改善、糖尿病の新規発症率の低下が示されています。このエビデンスは、生活習慣改善によるリスク減少の可能性を示しており、定期的な指導の意義が裏付けられています。

参考資料

効果の持続にはフォローアップが重要

効果を持続させるためには、特定保健指導後のフォローアップも重要です。生活習慣を定着させるためには一定期間のサポートが有効とされており、特定保健指導後の定期的な健康チェックやサポートが、より良い健康行動の維持に役立ちます。

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