睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群

いびきがひどいと言われる、しっかり眠っているはずなのに異常な眠気に襲われる、集中できず仕事が手につかない…
そんな時は、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という病気が隠れているかもしれません。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(別名SASサス)は、睡眠中に呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸」※を繰り返す病気です。
熟睡できないために日中異常な眠気に襲われるほか、高血圧や動脈硬化など様々な合併症を引き起こします。

※睡眠中の呼吸、つまり口と鼻での空気の出入りが10秒以上停止する状態を「睡眠時無呼吸」といいます。症状や合併症があり睡眠時無呼吸状態が1時間当たり5回以上起こる睡眠障害がSASです。1

睡眠時無呼吸が1時間当たり20回以上出現するような中等症・重症の睡眠時無呼吸症候群を放置すると、心筋梗塞・脳梗塞・生活習慣病・眠気による事故などを引き起こし、死亡率が非常に高くなるため、すぐに治療が必要です。2

特徴的な症状

睡眠時の大きないびき日中の異常な眠気です。

睡眠中に何度も目が覚めたり、起床時の頭痛やだるさ・うつ症状・性機能障害などが起こることもあります。
特に日中の異常な眠気は仕事上のミスや学業不振に加え、交通事故や機械の操作ミスなどにつながることがあります。
さらに怖いのが合併症です。特に無呼吸状態が引き起こす動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中などの発症率を高めるだけでなく、糖尿病や高血圧、不整脈の原因にもなります。3

原因

発症しやすい人の特徴は“肥満”です。

肥満で首の周囲に脂肪がつくと喉が狭くなるため、この状態で仰向けになって眠ると空気が通過する部分が閉塞して無呼吸状態になってしまいます。ただやせていても、日本人は欧米人に比べて顎が小さく気道が狭い傾向があり、睡眠時無呼吸症候群になりやすい体質と考えられます。
飲酒や鼻炎症状が睡眠時無呼吸症候群の誘引となることもあります。

予防

睡眠時無呼吸症候群の予防に最も効果的なのは肥満防止です。

鼻炎症状がある人は、耳鼻科を受診して症状の改善を目指しましょう。鼻炎症状があると口呼吸が多くなり、気道が狭くなって閉塞状態を引き起こしやすくなります。
睡眠薬には、神経活動の低下をもたらし、気道を狭める種類もあり注意が必要です。主治医とよく相談してください。
低めの枕の使用や横向きで寝ることも、気道の閉塞を招きにくくなります。

「睡眠時無呼吸症候群」予防のポイント

  • 適正体重を維持する
  • 鼻呼吸を心掛ける
  • 鼻炎症状がある場合は積極的に治療する
  • 睡眠薬の服用には注意する(医師への相談が必要)
  • 高い枕は避ける
  • 横向きに寝る
  • 就寝前の飲酒は避ける
  • 禁煙する

検査方法

診断には簡易検査と本検査が行われます。

簡易検査では、患者さん自身が自宅で体内の酸素飽和度を測定する簡易型睡眠モニターを装着し、鼻の下にセンサーを着けて一晩眠ってもらうことで診断します。この検査で睡眠時無呼吸症候群の疑いがあればポリソムノグラフィーという本検査を行い、診断を確定します。
本検査では入院して酸素飽和度だけでなく、心電図や脳波、鼻や口の気流測定、腹部の動きなども測定します。

治療方法

睡眠時無呼吸症候群の治療では〝減量〞が重要です。

ただ標準体重を目指す必要はなく、少しの減量でも症状の改善が期待できます。

シーパップ(CPAP)

最も有効な治療法が、シーパップ(CPAP)です。睡眠時に鼻に専用マスクを当て、そこから空気を送り出して喉がふさがらないようにする治療法です。

引用元・参考サイト

けんぽれん「すこやか健保」2023年3月号(vol.892)“睡眠時無呼吸症候群”知っていますか?
厚生労働省e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」

脚注

  1. 1.けんぽれん「すこやか健保」2023年3月号 ↩︎
  2. 2.厚生労働省e-ヘルスネット ↩︎
  3. 3.けんぽれん「すこやか健保」2023年3月号 ↩︎